何気ない言葉
普段、意識することなく使う言葉【大丈夫?】。
この言葉は、顔が疲れているように見える人、忙しくしている人、何をするにも余裕がない人、上手くいかない人、やる事が多い人・・・・・物事が順序よく進められない人達に対して何気なく使っていますよね。
発信者は、相手を心配しているからこそ、出てくる言葉なのでしょう。
この『大丈夫?』と尋ねることで、相手が本当にありがたいなと思えるのであれば特に問題ないですが、これが無意識のうちに相手に余分なプレッシャーを与えていたのだとしたら・・・・。
私が営業先に向かっている途中に会社員の二人、上司と部下が歩いているのを見かけました。
その時に部下のほうが、カバンの中の書類なのか何なのか分かりませんが、大事なものを取り出そうとしているときに、なかなか出てこなく、そうしてだんだん焦りながら探し始めると、『おい!大丈夫??』と上司が言葉を張り上げながら部下に𠮟咤し始めました。
部下はますます焦ってしまったせいか、カバンの中のものを地面に散乱してしまいました。
たまたま近くにいたので、拾うのを手伝い、御礼を言って二人は去っていきました。そのときにあのときの上司の『おい!大丈夫??』の言葉がなければ、散乱しなかったのではと,心の中で思いました。
確かに『おい!大丈夫??』と言いたくなるようなシチュエーションではありました。(自分も同じ立場だったら言うかも)そのくらい部下の方は無駄に焦っていました。
でも、言いたくなるこの言葉を飲み込み、あえて黙って見守っていたら、もしかしたら部下の方が自分なりに気持ちを整理して、落ち着きを取り戻し、物を地面に落とすことなく、物事がより上手く進んだかもしれません。
改めて蒸し返すほどの大きな事柄ではありませんが、『大丈夫?』が与える影響の一面を垣間見た瞬間でした。この『大丈夫??』がどんな影響があるのか・・・・を自分なりに考察してみました。
『大丈夫??』本当に相手の為??

ちょっと卑屈な視点になってしまいますが、『大丈夫??』の投げかけは、一見相手の事を思いやる行為であります。これによって相手から感謝されれば間違ったことはしていないことへの納得の材料になります。
ただ見方を変えれば、自分が悪役になるのを避けられるようになり、こちらへの批判を防ぐ行為とも取れたりします。
要は、自分の為に使っているだけです。
そこには『こちらはあなたの事をこれだけ心配しているんだぞ。』というメッセージが込められており、『悪いのはあなたじゃないのか』という遠回しに相手への批判があります。
もちろん、これがすべてではありませんが、この解釈は、当たらずとも遠からずといったところではないかと思います。
本当に心の底から大丈夫か?と思っている人は、言葉の発する内容が変わります。
『今大変そうだから、これやっといたよ』とか『資料作成しといたから最終確認お願い』とか『具材仕込んでおいて冷蔵庫にいれてあるから』などのお手伝い前提の内容の言葉を発してくれます。
※お手伝いする内容が通常であれば当事者が対応できるが、忙しくて手が回らないケースの場合です。
つまりは、本当に大丈夫?と思ってくれている人は、大丈夫??ということは言いません。何故なら大丈夫じゃないことを知っているので敢えて言わないのです。それなら解決できるよう手助けをしよう‥‥これが本当の【大丈夫??】の本来の精神です。
また『大丈夫??というくらいなら手伝ってくれないかな!!』これが当事者の本音でしょう。
無意識に強制的に自分の考えを押し付けている??

自分のやり方を押し付けたいときにあからさまに『こうしろ、ああしろ』と言ってしまうと、世間からは強制しているように映ってしまい、【〇〇ハラ】に敏感なご時世において悪い印象になってしまいます。
人は、世間から【自分は他人に対して理解のある立派な人間】というレッテルが欲しいものです。そのためにも表立って、他人に対してあからさまな強制発言はしたくない。ならばどうするか…
『大丈夫??』という言葉を全面に出しながら、側面から自分のやり方を押し付ける言い方をします。
大丈夫???の後に・・・・
『そのやり方よりもこうしたほうがいいんじゃない??』
『ちょっと変わって!代わりにやるよ!』
これだと、若手、新人、子供等は失敗を経験できない、自主的に解決する環境がない・・・・短い視点でみればこれで良いかもしれませんが、長期的な視点で考えるとマイナスになってしまうケースです。
上手くいかない時に人は、成長します。
失敗→次の手を考える→失敗→次の手を考える・・・・・この繰り返しが人を成長させます。
もちろんケースバイケースなので、このやり方が正解なんてありません。ただ無意識からくる強制は誰しもが経験があることだと思いますので、ちゃんとした使い分けは必要ですね。
なんだったら、優しく見守るだけに徹して、相手から助け舟が来た時だけ最低限、助けるくらいがちょうど良いのかなと思います。
最後に
今まで偉そうに語ってきましたが、とはいっても、中々できないのが現実です・・・・・。
自分も日々の生活の中で『大丈夫???』の言葉は、無意識に使ってしまっており、それが相手にとって重荷になってしまっているケースはおそらくあるでしょう。
そうならない為にも視野を広く持ち、固定概念に染まらないようしていきます。
【こちらもよろしく】
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