家庭を持つと自分の時間の確保が大変になります。
子供がいればなおさらです。仕事と家事の両立は、びっくりするくらい時間の流れが早いです!
『もうお迎えの時間だ!!』
『もう22時?!』
そんな日々を過ごしている毎日です。仕事と家事を両立している世の中のママパパは本当に素晴らしいです!!
身体を動かすことが好きなので以前はジムに通っていましたが、時間が作れず今では遠のいています‥…
それでも身体を動かしたいので、空いた時間で上手く活用できないものかと考えたところ自宅でのトレーニングをやるかと考え、特に下半身を鍛えたいので下半身をメインにやってみようと思いました!
ただ自宅でできる下半身のトレーニングと言えばスクワットくらいしか思い浮かびません…
それだけだとどうしても飽きてしまうので『他のメニューはないものか』と考えていた時に、ふと相撲中継を目にしたときに摺り足をしている力士をみて『これだ!』と思いました。
『摺り足をしてみよう!』
試しに2分間やってみましたが、地味に下半身にきます!
『摺り足あなどれん!!!!』『これは良いトレーニングだ!!』
なにより全身から汗が噴き出るように出ます!
そんな摺り足の素晴らしさを今回は紹介していきます!
摺り足の起源
摺り足の起源は、日本の古代武術にさかのぼります。
戦国時代以前の武士たちは、静かに敵陣に接近し、不意打ちを仕掛けるための移動技術として摺り足を発展させました。当時の合戦では、音を立てずに敵に近づくことが戦略的に極めて重要でした。
忍者や武士たちは、踏み込みや攻撃の瞬間まで自らの存在を気付かれないようにするため、この歩行技術を磨き上げていきました。摺り足の最も重要な効果の一つは、静かに移動できることです。
床に足を擦りながら歩くことで、足音を最小限に抑えることができます。
これは、武道において極めて重要な技術で、相手に気付かれることなく接近したりするのに役立ちます。
特に忍術や剣道では、この静粛性が非常に重要視されています。
摺り足がもたらす効果とは

摺り足は、体重を常に安定させながら移動する技術です。足を完全に持ち上げずに、床にほぼ接触した状態で移動することで、以下のような利点があります
重心を低く保つことができる
武士にとって戦場は無数の敵の攻撃を防ぐために自分の視野を広げることが重要でした。摺り足による重心を低く保った状態での移動は、視界の広がりと敵を察知するのに最適な手段でした。
現代では、武道の立ち合いにおいて重心を低く保ちながら敵を警戒する場面が見受けられます。【例 レスリング、柔道】
急な方向転換や素早い反応が可能
急な方向転換や素早い反応は摺り足の特徴の一つです。敵に攻撃から逃れるためには、短距離間の移動の俊敏性が重要でした。床にほぼ接触した状態での移動は、親指の反応スピードが高まるので、俊敏な動きが可能となります。
現代のスポーツにおいても大事な要素の一つです。
例えばサッカーのドリブルです。ドリブルはボールタッチの回数が多いほどコントロールできるので相手のことを抜きやすくなります。ボールタッチの多いドリブルは足が地面に接着する回数が多くすることで可能にします。摺り足そのものではないにしろ、摺り足の要素が入っているといわれています。
【例え メッシ選手のドリブルがそれに近いです⚽】
転倒のリスクを最小限に抑える
転倒は足を持ち上げる際に一時的にバランスを失うことで起こります、摺り足はこのリスクを最小限に抑えます。床との接触を常に保つため、予期せぬ段差や滑りやすい場所でも、素早く姿勢を変えることができます。
また関節への負担の軽減と足全体の筋肉に負担をかけすぎないので、筋力が低下している高齢者にとっては重要な歩行方法の一つです。
身体の各部位の微妙な動きをコントロールしやすくなる
摺り足の最大の特徴は、ゆっくりと安定した動きを可能にする点にあります。足を完全に持ち上げずに地面すれすれに移動することで指の筋肉を意識できるようになります。
それによって大きな筋肉だけではなく、小さな筋肉の感受性も高まり、バランス感覚と固有受容感覚(体の位置や動きを感じ取る感覚)が向上します。
エネルギー効率と持久力
摺り足の最大の特徴は、歩行時のエネルギー消費を最小限に抑えながら、効率的な移動を可能にする点にあります。
摺り足は、足を完全に持ち上げずに地面すれすれに移動するため、通常の歩行と比較して筋肉の使用エネルギーが著しく減少します。特に、大腿四頭筋や下肢の屈筋群への負担が軽減され、長距離移動時のエネルギー効率が向上します。
飛脚が活用していたナンバ走りの起源とも言われています!
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精神的な集中と自制心
摺り足を習得するプロセスは、単なる身体技術以上の意味を持ちます。
摺り足は、一歩一歩に完全な注意を向けることが求められています。
足を地面すれすれに移動させる際、現在の瞬間にのみ意識を集中させる必要があります。これは瞑想に似た精神状態を生み出すと言われています。
また摺り足を行う際、本質的に忍耐を必要とする動作です。ゆっくりと、意図的に、そして安定して移動することで、呼吸は自然と落ち着いた状態へと導きます。同時に精神的な忍耐力を鍛える優れた訓練となります。
文化的な意義

武術から発展した摺り足は、次第に伝統芸能の世界にも浸透していきました。能や歌舞伎の舞台では、摺り足は単なる移動技術を超えて、美学的な表現の重要な要素となりました。
- 無駄のない、洗練された動きの象徴
- 伝統芸能における美的表現の重要な要素
- 武道精神における「無駄な動きをしない」哲学の具現化
摺り足は、単なる歩行技術を超えて、日本の伝統文化における身体技法の奥深さと哲学を体現する重要な技術なのです。その効果は身体的なものから精神的、文化的なものまで多岐にわたるものと言えるでしょう。
摺り足の歴史は、日本文化における「間(ま)」の概念、無駄のない動き、精神性の表現と深く結びついています。
戦争の技術から芸術的表現へ、そして精神修養の手段へと、摺り足は日本文化の本質的な特徴を体現する技術として発展してきたのです。
摺り足の基本的なやり方と練習方法

摺り足は、単なる歩行技術ではなく、身体と精神の調和を追求する技術です。継続的な練習と自己観察が上達の鍵となります。焦らず、丁寧に取り組むことが大切です。
基本姿勢
摺り足を正確に行うためには、まず正しい基本姿勢が重要です:
- 姿勢の基本
- 膝を軽く曲げ、重心を低く保つ
- 背筋をまっすぐに伸ばし、上半身をリラックスさせる
- 足の裏全体で床に接地する準備をする
- 足の構え
- 足を肩幅よりやや狭めに置く
- つま先は正面または若干外側に向ける
- 体重を均等に分散させる
摺り足の基本動作
- 足の上げ方
- 足を完全に持ち上げるのではなく、床とわずかな隙間を保ちながら移動
- かかとを最初に上げ、つま先を床に接触させたまま滑らせる
- 移動のリズム
- ゆっくりと、しかし途切れることなく滑るように移動
- 体重移動は非常にスムーズに行う
- 上半身はできるだけ揺れないようにする
呼吸と意識
- 呼吸
- 深い呼吸をしながら、リラックスした状態を保つ
- 移動に合わせて自然な呼吸のリズムを作る
- 精神的な集中
- 床との接触を意識する
- 静かさと安定性に注意を払う
練習方法
初心者向けトレーニング
- 静止状態からの練習
- まずは動かずに正しい姿勢を習得
- 鏡の前で姿勢をチェック
- ゆっくりした移動
- 最初は非常にゆっくりと短い距離で練習
- 床との接触を意識しながら移動
- 方向転換の練習
- 直線だけでなく、様々な角度での移動を練習
- スムーズな方向転換を心がける
注意点
- 靴下を履いた滑りやすい床や、畳の上から始めるのがおすすめ
- 最初は疲れるので、短時間から始めて徐々に時間を延ばす
- 体の柔軟性と下半身の筋力トレーニングも並行して行うと良い
上級者向けのヒント
- 音を立てずに移動できているか常に意識する
- 上半身の安定性を保ちながら、より素早い移動を目指す
力士の摺り足トレーニング方法

力士の摺り足トレーニングは、下半身の筋力を徹底的に鍛え上げます。
特に大腿四頭筋、ハムストリング、下腿筋群は、低い姿勢での持続的な動きにより、驚くほど強靭になります。また股関節、膝関節、足首の柔軟性を大幅に改善します。
特にハムストリングの強化は骨盤の傾きを正しい位置へ調整し、下腹部のポッコリお腹をへこますのに効果があります!
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低い姿勢での移動は、通常の歩行や走行よりもはるかに多くのエネルギーを消費します。継続的な摺り足トレーニングは、有酸素能力と無酸素能力の両方を向上させ、驚くべき持久力を生み出します。
基本姿勢
- 構え(構え)
- 足を大きく開き、重心を低く保つ
- 膝を深く曲げ、安定した姿勢を作る
- つま先は少し外側に向ける
- 上半身は真っ直ぐに保ち、肩の力を抜く
摺り足の具体的トレーニング
基礎トレーニング
- 土俵を意識した摺り足
- 狭い空間での正確な足の移動
- 足の裏全体で床をしっかりとらえる
- 膝を深く曲げた状態での移動
- 低重心移動トレーニング
- 重心を地面に近づけて移動
- 上半身を安定させながら足を滑らせる
- 体重移動を最小限に抑える
実践的トレーニング
- 方向転換トレーニング
- 素早く90度、180度の方向転換
- バランスを崩さずに移動
- 相手の動きを想定した練習
- 抵抗トレーニング
- パートナーと組んで摺り足の抵抗練習
- 相手の力に対抗しながら安定した足の移動
- 体の芯の強さを鍛える
トレーニング時の注意点
- 膝と足首の柔軟性を高める
- コアの筋力トレーニングを並行して行う
- 怪我に注意し、徐々に強度を上げる
トレーニング頻度
- 初心者:週3-4回、1回30分
- 中級者:週5-6回、1回45分
- プロ力士:毎日、1-2時間のトレーニング
補助トレーニング
- スクワットトレーニング
- 下半身の筋力と安定性を向上
- 毎日10-20回から開始
- バランスボードトレーニング
- 足首と下半身の安定性を高める
- 1日10-15分の練習
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まとめ:摺り足は先人の叡智

古代武術から始まり、単なる歩き方を文化的技術へと進化させ、日本の伝統に根ざしたこの歩行法は、先人達の叡智による身体と精神の調和を体現する素晴らしい知恵なのです!
【運動器具は必要ない】
【自宅で実践できる】
【運動苦手な方にはおすすめ!】
ぜひ、みなさんも一度試してみてください。きっと新しい自分の発見につながるはずです!
〜静かに、優雅に、そして力強く〜
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